「小排気量車にこそフューエルワンをバイクに使うべきです」
フューエルワンはワコーズから販売されているエンジン内部を綺麗にする洗浄剤です。バイク用品に行くと、目立つ場所に置いてあるので、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
近年の車種は電子制御なので、昔ほどエンジン内部に汚れが溜まりにくくなっているとはいえ、実は徐々に汚れは溜まってしまいます。
特に125cc(及び原付)は他の車種に比べて汚れが溜まりやすいからこそ、なぜヒューエルワンで洗浄が必要なのかを解説します。
目次
小排気量車のバイクにこそフューエル1を使う理由3選
バイクは走行するためにはガソリンを爆発させて走行することは基本となりますが、このガソリンが綺麗に燃えるためには下記の条件が存在します。
- ガソリン 1g に対して、空気が 14.7g の比率(理論空燃比)
- エンジン温度が高い
環境問題の規制も強まり、近年は燃費向上の点から、燃料を薄くしてもしっかり燃焼させ、エンジンの性能を維持する技術が開発され続けています。そのため1:14.7より燃料の割合が下がっている方向ではあります。
その上で、小排気量車にとっては理想の燃焼を維持することが難しいシーンがあります。
≫ 加速・高回転時に溜まりやすい
≫短距離使用が多い
≫ 小排気量だからこそ、出力低下の影響を受けやすい
それぞれ見ていきます。
小排気量は汚れが溜まりやすい
小排気量車はガソリンが完全に燃えずに、空気と完全に結合できずに生まれた炭素が多くなりやすい傾向です。シーンとしては
- 街中ではフル加速が多い
- 高回転域を使うシーンが多い
これらの走り方は、小排気量車の特徴でもあり、交通の流れに乗るために必要な操作です。と、同時にガソリンが多く、完全に燃えきらずに発生した炭素が多くなる結果となります。
定速 | 加速 | |
---|---|---|
空燃比 | 1:14.7 (ガソリン:空気) | 1:12〜13 (ガソリン:空気) |
炭素 | なし | 多い |
パワーの出方 | 少し劣る | 最高出力 |
加速時
加速時により多くのガソリンを使いますが、125ccは特にフルスロットルで加速するシーンが多いです。通勤でも使われる125ccは信号で前へ出る機会が多いからですね。
ただ、常に加速し続けるわけでもないので、すぐに汚れがたまる状況ではないと思われます。あくまでも汚れが溜まる原因は加速時にもあるということです。
高回転時
空気は圧縮されると熱を持つため、高回転時の空燃比は低く設計されています。加速時の空燃比と同じですね!
自転車用の空気入れポンプが使い続けると熱くなるのも空気が圧縮されることにより熱を持つためです。その為エンジンにとって高熱はデメリット(焼きつき等)になるので燃料を多くし、発熱を出来るだけ抑えるセッティングになっています。
よって、高回転になりやすい小排気量車は、実は炭素が溜まりやすい状況になっています。
短距離使用が多いバイクにこそ使うべき
次に125ccや原付を通勤、そして普段の買い物に使用する場合、乗っている時間が短いのも原因の一つです。一番の大きな原因は
エンジン温度が上がらない
ためです。この状況を「シビアコンディション」と言います。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ガソリンと空気が結合し燃えるためには、ガソリンがしっかり気化する必要があります。温度が低いと、ガソリンの気化する濃度が低いため、通常はガソリンを多めに噴出する仕組みです。
エンジンが温まる前に走行を終えてしまうとガソリンが多い状態での走行だったので、炭素が溜まっていく一方です。
回避する方法としては
- 走り始めるまでの暖気をしっかり行う
- 走行時間を長くする
- エンジンが暖まらない短時間運転を避ける
などを行う必要があります。小排気量車はエンジンが暖まりにくいので暖気に時間がかかるのも一つ原因ですね!
蓄積したカーボンにより出力が落ちやすい
蓄積する炭素は最悪、バルブに噛み込み、エンジンの正常な動作を妨げる原因となります。特に125ccなどの小排気量車は
ガソリン噴射口等が狭く、そこに汚れが詰まってしまうトラブル
などが考えられます。125ccや原付は1気筒が多いので、すぐに違和感を感じます。
小排気量車は、トラブルが発生しやすいし、トラブルが発生すると途端に調子が悪くなる、ツンデレみたいな性格ですね。笑
大排気量車においては、そもそものトルクが大きい車両が多いので、トラブルが起こっても違いを感じにくいのかもしれません。
以上の内容から、小排気量車は汚れが溜まりやすいのですが、適正ギアで高回転にならないように走るのが一番しっかり燃やせるセッティングと言えます。
【番外編】大型車種も要注意
大型車はパワーがあるので普段の走行において低回転を多用する機会が非常に多いです。ここにも注意点があります。
低回転時は加速時同様ガソリンを多く噴出し、回転を維持するようにセッティングされています。そのため
低回転・低負荷走行はカーボンが溜まりやすい
状況になっています。
キャブ車は特に注意!
インジェクションは外気圧や外気温、そして排ガスを測定して計算し、コンピューターで燃料を調整するシステムが装備されています。
センサーはマフラーに接続された機器で空燃比を測定しています。
しかしキャブ車にはこうしたセンサーは付いていない(後付けはできますが、制御はできません)ので、ガソリンを綺麗に燃やす為の理想の空燃比からズレることが多く、炭素は溜まりやすいのです。
車の流れに乗ってスムーズに加速する分においては、無理な加速や高回転を使うことなく炭素の発生も少ない状況と言えます。このようにガソリンと空気の比率は1:14.7が理想ではありますが、走行シーンによって変化することで、ガソリンを常に完全燃焼させることは難しいのです。
- 短時間の使用が主である
- 急発進・高回転の多用が多い
- キャブ車である
- 大排気量車で、普段は低回転の走行が多い
該当する車両は、次に紹介するフューエルワンなどの洗浄剤を定期的に使ってクリーニングすることが推奨されます。
フューエルワン・ツーの特徴を解説!
次に、トラブルを回避するために使いたいワコーズの洗浄剤について解説します。
フューエルワン | フューエルツー | |
---|---|---|
価格 | ¥1,980(税込) | ¥1,980(税込) |
容量 | 200 ml | 200 ml |
燃料20~60Lに1本を使用 | 燃料20~60Lに1本を使用 | |
汚れを取り除く | 綺麗な状況をキープする |
2022年02月に値上げとなりました。また、フューエルツーは最近発売されたので、ご存知ない方も多いかと思います。こちらについても併せて解説します!
フューエルワンでエンジン内部を掃除できる
燃料に添加するだけで燃焼室・吸排気バルブ・インジェクターなどに堆積したカーボン(炭素)等を除去し、エンジン性能を新車時のようなコンディションに近づける性能があります。
効果としては
- 燃費・パワー回復
- 有害排出ガス低減
- 燃料タンク防錆
の効果があるのがフューエルワンとなっています。
燃料全体の 1 % を超えないように投入する
ボトルには「燃料20〜60Lに1本を目安に燃料タンクに注入してください」とのことです。おおよその目安は下記の通りです。
入れるガソリンの量 | ヒューエルワン |
---|---|
5L | 1%:50 ml(1缶の1/4) 0.5%:25 ml |
10L | 1%:100 ml(1缶の1/2) 0.5%:50 ml |
ちなみに、1%を超えてはいけない理由としては、配合されているPEAが難燃性であり、燃焼への影響があるためです。
PEAが高純度で入っている
フューエルワンには高純度でPEAが配合されています。
ポリエーテルアミンの略でアミン系の有機溶剤となります
このPEAがエンジンの負担が少なく、溜まった炭素の除去に非常に効果的な作用があることが判り、今ではPEAの成分量が重要視されています。
結果、下記のように
溜まっていた汚れがフューエル1によりしっかり取り除けています。
燃料系統のサビ・腐食発生を防ぐ
フューエル1及び2は防錆にも有効です。もっとも錆びやすいのは空気の入り込みやすいタンク内かと思いますが、ガソリンに入れておくことで効果を発揮します。
ただし燃料タンクはフューエル1を入れたとしても、タンクに燃料が少なく、乗らない期間が長くなるほどサビが進行するため、同じくワコーズから出ているタンクライナーで防錆コーティングしてあげる方が効果的だと思います。
施工はガソリンを抜いたり、タンクを外す必要があるなど大掛かりな作業であることは間違いありませんが、バイクの良い状態を長く維持するためには必須の施工です。
長期保管の際は、
タンクにガソリンをフルに入れておき、そこにフューエル1を入れておく
のが効果的な使い方です。
フューエル2でキープクリーン
フューエル2はフューエル1で綺麗にした内部をキープする洗浄剤です。
フューエル1に配合されているPEAは強い洗浄能力を目的に入れる目的です。取り除いた汚れはエンジンオイルに混入する可能性もある為、フューエル1施工時は早めにエンジンオイルを交換することが推奨されます。
一方のフューエル2は汚れがたまるのを防ぐ役割があります。効果としては
- フューエルワンを入れる頻度を遅らせることができる
- 排ガスに含まれる有害物質を減らす
ことが可能です。個人的には都度フューエル2を入れるのは面倒なのと費用もかかるので、汚れが溜まったらフューエル1でまとめて清掃する、そんな使い方がいいなと思ってしまいました。
フューエル1は汚れていない部分の利用が良いので
汚れる前の新車に入れる
のは用途にあった使い方ですね!
フューエルワンの使用頻度について
フューエル1・2の使い方は簡単で、ガソリンを入れる際に合わせて規定量を注ぐだけです。
どれだけ多くてもガソリンに対して1%を超えてフューエルワンを注ぐことのないように注意しましょう!
入れる頻度はバイクコンディションによる
お伝えした通り、炭素の溜まり方はバイクの乗り方に左右される部分が多いため、一概に◯◯kmで1回とは言い切れない状況です。
こちらはワコーズのカタログから抜粋したものです。車両はバイクではなく「国産2.0L、4気筒エンジン(16バルブ)」での結果です。車の使用状況が不明で、シビアコンディションなのか、加速を多用するのか、そのあたりは表からは判断できませんが、時間の経過とともに汚れが溜まっていることは判ります。
あと分からないのは、デポジットの蓄積量が全体に対してどれぐらい溜まっているのかも判りません。よって、効果があることは判りますが、都度入れるべきものかの頻度まではわからない状況です。
ただし、使用が推奨される下記の車両
- 経年車
- 初めて洗浄剤を使用する車両
には、1回ではなく、連続して使用することで効果が大きくなると記載されています。
そのため、目安としては
半年に1回はヒューエルワンを入れる
のが良いのではないかと思います。(個人の判断です)
バイクの場合はビッグツアラーやアドベンチャーを除いては1缶で2回分はあるので、連続使用できてお財布に優しいです。笑
プラグの焼け色で判断する
プラグの焼け具合はガソリンの燃焼が正しく行われているかを判断する一つの重要なポイントです。その状態は下記の通りです。
燃調 | プラグの焼け色 | 状態 |
---|---|---|
濃い | 黒くて湿っている | ガソリンが多い状態 (白っぽい状態よりはエンジン負担が少ない) |
適正 | きつね色に焼ける | 綺麗な燃焼が行われている |
薄い | 白っぽくて乾いている | ガソリンが少ない状態 (熱を持ちやすく、焼き付きの原因) |
1,000kmごとの点検でプラグが綺麗に焼けているのであれば炭素の蓄積も少ないと考えられます。
【番外編】キックペダルが軽い
最近はキックペダル付きエンジンも少なくなりましたが、キックペダルが軽い場合は圧縮が少ない場合に起こります。
これは蓄積した炭素がバルブに噛むことで圧縮漏れが起こっているためです。この状態になるとパワーが抜けるとともに、エンジンコンディションも一気に悪くなっていきます。
この状況になると、フューエル1よりはエンジンの腰上オーバーホールを検討するレベルになります。
メンテナンスでも空燃比は変わる
最後に、普段のメンテナンスでも空燃比が変化します。
エアフィルターの詰まりで、燃料が濃くなる
終始理想のガソリンと空気の割合は1:14.7であることはお伝えしていますが、取り込む空気が少ないと、空燃比率が変化します。
空気を取り込むフィルターが汚れによって目が詰まり、空気をうまく取り込めなくなる状況でも空燃比が変化します。よって、定期的なメンテナンスが必要です。
以上フューエル1は小排気量車にこそオススメする理由の解説でした!125ccはパワーは少ないからそこ、しっかり性能を発揮できるように継続的にフューエル1を使ってメンテナンスすると気持ちよく乗れますよ!
最後までご覧いただきありがとうございます!
この記事がバイクメンテナンスの参考になれば幸いです!