この記事ではHighland Desing|TOP QUILTをレビューしていきたいと思います。この商品については
で詳細に書かれています。この紹介ページにダウンの寝袋と組み合わせることの相性が良いとのことで購入し、確かに良い性能だなと感じています。これについては記事内で寝比べて確認した内容も記載しています。
この記事では実際の組み合わせについて実験した比較や、化繊キルトを導入することで広がる選択肢をレビューしていきたいと思います。
目次
化繊寝袋と羽毛寝袋を組み合わせるメリット
ツーリングにおいて優位性がある
バイクで連泊を伴うツーリングに出かけると、寝袋は使っていくうちに膨らみが減ってきて、本来の保温性が失われやすくなっていきます。
1枚目は洗濯前、2枚目は洗濯後のちに乾燥させたものです。膨らみに違いがあります。
ダウンがしぼむ原因となるのは結露だったり、そもそも湿気が多い日だったり、保管の際の湿気だったりと様々ですが、水分がダウンの膨らみを弱らせる原因になります。
一つの解決策としては化繊の寝袋を使うことです。化繊なら湿気で形状が変化することが少なく、水に濡れても乾きやすい特徴があります。自宅の洗濯機で簡単に洗え、旅終わりの道具のメンテナンスも楽です。
一方で収納サイズがダウンの寝袋に比べ大きい(1.5倍ぐらい)のがデメリットです。ただし秋や冬シーズンに必要な保温性を確保するなら、の話です。
化繊寝袋と羽毛寝袋を組み合わせることでそれぞれの厚みが少し薄くなりながらも保温性を確保できます。結果、収納サイズも冬用のダウン寝袋と比べても大きくなりすぎることはありません。
また湿気に強い化繊の寝袋を外側に持っていくことで、内側のダウンを保護する使い方ができます。お互いのデメリットを打ち消しあうので、長期の旅に向いた使い方です。
色々な気温帯に対応可能
快適な温度帯が異なる2つの寝袋を組み合わせることで、組み合わせて保温性を高くしたり、どちらか片方だけを使うこともできます。真夏になれば、寝袋を使わない手段もあります。笑
冬から夏にかけて2つの寝袋を使い分ける、そして時には組み合わせることで快適に過ごすことができるのが組み合わせ術のメリットです。
冬用で寝袋を用意することはもちろん間違いではありません。圧倒的に寝やすいですし、収納サイズや重さもコンパクトになります。ただ、端境期においては扱いずらい側面もあり、夏用の寝袋だと少し寒さを感じるようなシーンにおいては冬用は扱いづらさを感じます。
【実録】使ってみて組み合わせるメリットを実感する
バイクでツーリング(主に2泊以上)するにおいて、行程中に雨が降る場合もあるし、テント内に結露が大量に発生する可能性もあります。
同時に危惧すべき問題は湿気および水分でダウンの寝袋がしぼんでしまい、性能が正しく発揮されないということです。また、一度濡れてしまったダウンはなかなか乾きにくいです。
以前このブログで紹介したモンベル|シームレスダウンハガーには防水モデルがあり、バイクでのツーリングにおいては最適解だと思います。
ただ防水モデルは
- メンテナンスが非防水モデルに対して扱いづらい
- パッキングの際に寝袋の空気が抜けづらい
などの扱いづらさも発生します。
モンベル|シームレスダウンハガー#5と組み合わせる
はじめに、モンベルとHighland Designのそれぞれのスペックについては下記の通りです。
モンベル シームレス ダウンハガー #5 | Highland Designs TOP QUILT 4th | |
---|---|---|
価格(税込) | ¥28,600 | ¥25,080 |
フィルパワー | 800FP | ー |
総重量 | 462 g | 360 g |
快適温度 | 8 ℃ | 12 ℃ |
使用可能温度 | 3 ℃ | 6 ℃ |
収納サイズ | ∅12×24cm(2.4L) | ー |
表地 | 10Dナイロン | 15Dナイロン |
この組み合わせで下記の製品と比較し、保温性および結露に対しての性能が優れていれば、冬では組み合わせて使用し、気温が高くなるに応じて各々単体で使うことでオールシーズン使える寝袋として使えるのではないかと考えます。
モンベル ドライシームレス ダウンハガー #3 | モンベル シームレス ダウンハガー #3 | |
---|---|---|
価格(税込) | ¥49,500 | ¥33,000 |
フィルパワー | 900FP | 800FP |
総重量 | 557 g | 555 g |
快適温度 | 5 ℃ | 4 ℃ |
使用可能温度 | 0 ℃ | -1 ℃ |
収納サイズ | ∅14×28cm(3.8L) | ∅13×26cm(3.0L) |
表地 | 13Dナイロン(防水) | 10Dナイロン |
スペック上で比較した時に、総重量においては
- ドライシームレスダウンハガーに対し+265 g
- シームレスダウンハガーに対し+267 g
の重量増になっています。
値段についても5万を超える価格帯になる他、TOP QUILT自体が多く流通している製品でないので入手が難しいかもしれません。
今回、持っているのはシームレスダウンハガー#3なので、これと比較します。
気温1度の状況で使ってみる
早速使ってみました。実験フィールドはベランダです。笑
使用したウェアや寝具については下記の通りです。
- テントはステラリッジテントのインナーのみ
- マットはEXPEDのSynMat HL Winter M|R値は5.0
- ワークマンのウールインナー上下
- モンベルのスペリオダウンパンツ・ジャケットを着用
- 化繊のフットウォーマー着用
これでテストすることにしました。個人的に、ダウンハガー#3 よりも暖かければ、導入するメリットは大いにあると感じています。
1日目
モンベル|シームレスダウンハガー#3で 1晩寝てみました。
就寝時はテント内が体温で温められ、温度計は4 ℃を指し示していました。その状況では寝袋は暖かく、足先の冷えも感じずに就寝ができました。
その後足先の強い冷えを感じ目が覚めました。この時は3時頃で温度計は1 ℃を示していました。保険に用意しておいたTOP QUILTをかぶせることでこの日は朝まで就寝することができました。
結果として、快適温度:4 ℃は妥当なラインだと思うので、テント内の温度が氷点下を下回る場であればダウンウェアの厚みを増やしたり、シュラフカバーを用いるなどして追加の防寒をした方が良いことがわかりました。
2日目
モンベル|シームレスダウンハガー#5とTOP QUILTの組み合わせで就寝です。
就寝時の温度計は5 ℃前後だったかと思いますが、その後ずっと4 ℃あたりを指し示していました。
結果として、4 ℃あたりであれば強い冷えを感じることはなく寝ることはできましたが、寝返りを打った時はキルトの背面から冷気が入り込んで、上半身が寒かったです。ダウンジャケットをより厚みのあるものにすれば改善できるかもしれません。
また、2つの寝袋を使うと顔周りの調整箇所が多く、寝るまでのベストポジションを作るまでに少し時間がかかります。
気温が1 ℃まで下がらなかったので、機会があればもう一度トライしたいところです。
以上の結果からわかったことは
- 2つの寝袋で快適温度:4度、8度、12度に対応できた
- 2つの寝袋は顔周りの調整が面倒
ただ、今回の実験では
- 気温が0度の時の防寒性能
- 結露がひどい時の内側のダウンの弱り方
は分からなかったので、引き続きフィールドテストで確かめていこうと思います!
メリットはいろんな季節に対応できること
今回の実験では結露に対してどうだったか、というところの実験ができなかったので性能としては未知数ですが、濡れに強い化繊の寝袋がアウターにあるメリットは十分にあると考えています。
また2つ寝袋があり、それぞれの快適温度が異なることから、冬から夏(では使わない)にかけての選択肢が増える結果となりました。
ダウンの寝袋は一度湿気で膨らみが失われると、回復までに時間がかかるデメリットを化繊の寝袋で打ち消すというのが公式ページで歌われれいるメリットでもあり、今回実験でも組み合わせとして大いにアリと感じたので、今後も積極的に使っていこうと感じました!
以下、商品ページと重複する点が多いですが、要約として解説します。
化繊キルトを導入することで広がる選択肢
サイズ・スペックについて
Highland Designs TOP QUILT 4th | |
---|---|
収納サイズ | φ31cm*深さ50cm |
サイズ | 首幅:64cm(周りで128cm) 全長:178cm |
重量 | 360g ± 5% |
想定適応温度 | 適温/12 ℃ |
素材 | 生地:15D *15D ナイロン 中綿:PrimaLoft® Gold Insulation with Cross Core™ 60g/m2 |
スペックに対するレビュー
化繊といえば大きいというイメージがあったのですが、保温性が高いながらも収納サイズはコンパクトになる素材を使うことで、小さな収納寸が実感できるモデルです。
商品の仕様は少しマニアックで、万人ウケする仕様ではないと思っています。ですが、使い方を理解して使う分にはとても良い製品であることは違いありません。
メンテナンスが楽
化繊はダウンに比べ濡れても圧倒的に形が変形しづらく、乾きが早いメリットがあります。よって、洗濯機で他の衣類と一緒に洗濯機で洗うことが可能です。
一方のダウンの寝袋であれば、専用のダウンクリーナーを用いて手洗い、もしくはドラム式洗濯機にて洗濯後、乾燥させる工程が必要です。
乾燥機にはかけない方が良い
化繊の寝袋は水濡れには強い(素材がポリエステル)ので、濡れたら自然乾燥でOKです。一方熱には弱く、特にコインランドリーのタンブル乾燥は高温で乾燥させるため、最悪中綿の素材が変形する恐れがあります。
キルトだからこそ収納サイズがコンパクト
化繊のフェルトが薄く、そして軽量に進化したとはいえ、まだダウンの方が圧縮性と回復率の性能が高く、軽量・コンパクトです。
そこで化繊の寝袋としては頭を覆う形状にするのではなく、頭の部分を覆わない形状にすることでダウン製品と比較しても差があまりないように工夫しています。
防水カバーを持っていく必要がない
寝袋を結露や湿気等で濡らさないためには防水カバーを使う手段があります。でも私はできるだけ使わないようにしています。なぜなら
- 気温差で結露しやすいのは冬
- 濡れて困るのは冬
防水カバーは透湿性に優れた生地を使いますが、それでも体温から出る湿気はカバー内にこもりやすく、また寝袋内の暖かい空気と外の冷たい空気の温度差によって結露が発生し、ダウンの膨らみが失われやすくなります。
対策としては防水カバーのサイドから蒸れを逃がすようにしてあげることが解決策ですが、それ以上に透湿性が良いTOP QUILなら、防水カバーのような役割としても使うことができるので、シュラフカバーを使わなくなりました。
もちろんコンパクトになるのがシュラフカバーですし単体でも使えるモデルも多いので、持っていて損になるアイテムではありません。
羽織ものとしても使える
薄手であり、ファスナー等が付いていないモデルなのでとてもしなやかな本体が特徴です。椅子に座った時の足先の防寒着としても使えるし、服の中に突っ込んで防寒着として使うこともできます。
化繊キルトを使うにあたっての仕様解説
TOP QUILTの仕様について
TOP QUILTは足元のみ袋状になっていて、本体上部は背面が分割式になっています。
首元はスナップボタンとドローコードが付いているので首回りの調整は可能ですが、背面の開きは防げません。ここを閉じるためにはΦ2mm以下のゴムコードや帯ゴム等で調整できるよにカスタムする必要があります。
部材が厚かったり、バックルなどのパーツを使うと就寝時に背中側の違和感を感じるので、できるだけ細いor薄い部材を使うことが推奨されます。
ループは上下2箇所、左右に付いています。
化繊キルトは幅のゆとりがある
背面を閉じても胴囲はゆとりがある設定になっています。そのため、内側に入れたダウンが押しつぶされることもなく、保温に重要なかさ高を確保しながらもアウター寝袋として使えます。
今後考えられる寝袋の展開について
私はこのTOP QUILTを通して寝袋の発展を感じました。今後もこのような薄いものを重ねる組み合わせ方法は広まっていくと思うし、化繊の進化やダウン製品の進化による、さらなる発展を希望しています。
できる内容としては
- 化繊生地の軽量化による製品重量の削減
- 高品質ダウン(900FPや1000FP)仕様によるコンパクトな収納サイズ
- 新しい構造・仕様による軽量・コンパクトな製品
このあたりで新しい進化は今後も続くでしょう。
その中でモンベルのスリーピングバッグは新しい考え方だし、実際軽量・コンパクトになっているので、個人的には買いな製品だと感じています。
以上TOP QUILTのレビューでした!この製品が気になる方は、製品ページをチェックしてみてくださいね!
最後までご覧いただきありがとうございます!
この生地が寝袋選びの参考になれば幸いです!