モンベルの寝袋は2020年大幅アップデートされました。よりコンパクトになり、高品質な寝袋としての優れた性能を誇ります。
しかし寝袋の選択肢はモンベルだけでなく、今や中華系ブランドも含め低価格な寝袋もたくさんラインナップされ、モンベルの寝袋を選ばない選択肢も十分にあると感じています。
はじめに、私が考えるモンベルの寝袋を選ぶメリットは
- 高品質なダウンにより、小さな収納サイズ
- 縫製の品質が高く、長く使う製品として相応しい
となっています。この基準が不要なら、記事内で紹介する中華系の寝袋がコスパに優れているので良いと思います。
この記事では新旧の寝袋の比較をした上で、他の選択肢についても解説します!
目次
モンベル|シームレスダウンハガーの魅力
軽量・コンパクトに妥協なし
モンベルの寝袋は軽量・コンパクトを実現するために、様々なアップデートが行われています。そして2020年のアップデートでシームレスになりました。
ダウンは何も工夫しないと偏りやすいです。ダウンジャケットや寝袋にステッチがあるのは、このダウンが動かないようにするためにあります。(そのステッチはデザインにもなる)
新しい寝袋は動きやすいダウンを糸に絡めて、動きにくくする工夫を行いました。
シームレスになることで
- 縫い糸
- 隔壁の生地
を減らすことが可能です。共にダウンが動かないようにするためのものですが、シームレスになり減らすことが可能です。
この仕様により収納サイズがよりコンパクトになりました。また、縫い目がないことによる冷気の侵入や縫製不良なども起こりにくいと言えます。
シームレスダウンハガーは他のメーカーにはない軽量・コンパクトへの探究心による賜物です。
防水モデルもあり
シームレスモデルには防水の生地を用いたドライシームレスダウンハガーの展開もあります。
ドライシームレス ダウンハガー #3 | シームレス ダウンハガー #3 | |
---|---|---|
価格(税込) | ¥49,500 | ¥33,000 |
フィルパワー | 900FP | 800FP |
総重量 | 557 g | 555 g |
快適温度 | 5 ℃ | 4 ℃ |
使用可能温度 | 0 ℃ | -1 ℃ |
収納サイズ | ∅14×28cm(3.8L) | ∅13×26cm(3.0L) |
表地 | 13Dナイロン(防水) | 10Dナイロン |
ダウンの品質がより高品質なものが使われており、生地も防水であるが故に値段も1.5倍ですが、縫い目がないことによる防水性は非常に高い仕様になっています。
防水生地なので、寝袋を濡らさないようにするシュラフカバーの携行や買い足しが不要になり、より道具がコンパクトになります。
特に結露が発生しやすい状況においては優れたパフォーマンスを発揮するモデルになっています。資金が許せばベストバイギアです!
保温性が高いように感じる
寝袋の本体にステッチがない分、ダウンを圧縮する力が働きにくくなります。結果、本体がより膨らむようになりました。この膨らみが保温力に貢献していることは間違いありません。
スペック上は旧モデルより快適温度は1℃高いのですが、もう少し気温が低くでも快適に感じます。旧モデルだと3℃あたりで足先の冷えを感じましたが、シームレスダウンハガーなら快適に寝れました。
モンベル製品であること
モンベル製品であることは、その製品のアフターメンテナンスを実店舗に任せられるということです。具体的にはもし寝袋に深刻なダメージを受けた場合や品質の不具合が判った場合、お店にて相談することができます。
先日、私は恥ずかしなが寝袋にバーナーが触れてしまい、穴が空いてしまいました。普通ならダクトテープなりで補修して対応しますが、メーカー品であれば綺麗に補修が可能です。(もちろん修理料金は発生します)
これはモンベルに限らず、ナンガやイスカなども同様です。大事なのはアフターメンテナンスが可能ということです。
モンベル|シームレスダウンハガーのここが気になる
ダウンは偏りやすい
ダウンが動きにくいように糸で保持したとはいえ、多少のダウンの偏りは発生します。寝袋内に均一にダウンが入っていない状況は例えば
足元はダウン量が多く、胴回りのダウンが少ない
という状況になる可能性もあります。結果少し寒いと感じる場合もあるでしょう。
収納袋から寝袋を取り出した時、明らかにダウン量の偏りがあるように感じた場合は、ダウンを均すようにほぐしてあげると良いです。
横のびは悪くなった
モンベルの旧寝袋はスーパースパイラルストレッチが特徴の寝袋でした。
これは生地の裁断パターンの工夫により横へ伸びるように工夫したものです。螺旋形状が伸びのポイントです。
一方の新しいシームレスダウンハガーについては、生地の採り方向の工夫により、横へ伸びやすくしたもの(バイアスストレッチ)ですが、生地のストレッチにも限界があり、以前のモデルより横への広がりは弱くなります。
では伸びが悪くなるとどういうデメリットがあるのか。主に2つかなと感じており
- あぐらを組みにくい
- 窮屈さを感じる
について、旧モデルに対しデメリットを感じます。
あぐらを組みにくい
はじめに、シームレスダウンハガーであぐらを組むことは可能であることをお伝えしておきます。どういう時にあぐらを組むのかというと、125ccでキャンツーをする私の場合は運べる道具に限りがあるので、大きなテントやストーブなんてのは持っていけないわけです。
そうすると肌寒い時は寝袋に足を突っ込んでテント内で過ごすのが効果的です。
写真1枚目が旧ダウンハガーで、写真2枚目がシームレスダウンハガーです。
旧寝袋は本当によく伸びたので、あぐらもつっぱりをさほど感じることなく組めていたのに対し、新しいシームレスダウンハガーは突っ張りを感じます。
窮屈さを感じる
これも横伸びに起因した違和感ですが、寝返りがしにくいので目が冷めてしまうことが何回かありました。ただ、登山とかキャンツーとかで疲れ切っている状況で寝ている時は全く起きることがなかったので、大きな支障は出ていないのですが、やはり気になります。
モンベル|シームレスダウンハガーの仕様・サイズ
改めて、シームレスダウンハガーのラインナップについて確認しましょう。
800 EXP. | #0 | #1 | #2 | #3 | #5 | #7 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
価格(税込) | ¥72,600 | ¥55,000 | ¥49,500 | ¥44,000 | ¥33,000 | ¥28,600 | ¥26,400 |
総重量 | 1,364 g | 1,027g | 893 g | 703 g | 555g | 462 g | 412 g |
快適温度 | -12 ℃ | -6 ℃ | -3 ℃ | 0 ℃ | 4 ℃ | 8 ℃ | 11 ℃ |
使用可能温度 | -20 ℃ | -13 ℃ | -10 ℃ | -5 ℃ | -1 ℃ | 3 ℃ | 7 ℃ |
収納サイズ | ∅20×40cm(11.1L) | ∅18×36cm(8.1L) | ∅16×32cm(5.7L) | ∅15×30cm(4.7L) | ∅13×26cm(3.0L) | ∅12×24cm(2.4L) | ∅12×24cm(2.4L) |
今回紹介しているのは#3ですが、厳冬期に対応したEXP.の展開もあります。
以前当ブログで紹介したナンガの寝袋も-20度の環境で使えたモデルだったので、候補として比較されるモデルです。詳しいレビューについては
で解説しています。
旧モデルとの比較
シームレス ダウンハガー #3 | ダウンハガー #3 | |
---|---|---|
価格(税込) | ¥33,000 | ¥30,250 |
総重量 | 555g | 575 g |
快適温度 | 4 ℃ | 3 ℃ |
使用可能温度 | -1 ℃ | -2 ℃ |
収納サイズ | ∅13×26cm(3.0L) | ∅14×28cm(3.4L) |
表地 | 10Dナイロン | 10Dナイロン (帯電防止加工) |
特筆すべきポイントはダウンを動かないようにするための縫い糸や隔壁の生地が減ったので製品重量が軽量になり、収納サイズもコンパクトになっています。たった0.4Lと思うなかれ、こうした積み重ねが荷物全体の容量を決定するので手を抜けません。
生地・中綿・部材
生地
10デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・タフタ[はっ水加工]
旧製品から生地の重さで言えば変化はほとんどありませんが、帯電防止加工がなくなったようです。
ダウン
800FP EXダウン
羽毛のかさ高性を現す単位です。一般的に800FPは高品質ダウンで、中には1000FPを超える希少ダウンも存在します。
ファスナー
YKK製のファスナーには噛みどめ軽減スライダーが標準でついています。
ファスナーの裏側には冷気の侵入を防ぐタブがついています。
旧モデルはジッパーのスライダーが肌に当たって冷たかったのですが、新しいモデルは肌に触れないように改善されていました。
ちなみに、モンベルの寝袋はRシッパーとLジッパーにモデルが分かれており、それぞれのモデルがあれば連結することが可能です。
ストレージバッグ
ストレージバッグはコットン製からポリエステルのメッシュ製へ変更となりました。新しい袋は洗濯の際のネットとしても使うことが可能です。
ダウンのケアについてはスタッフバッグについているラベルに記載されていますよ!手洗い・ドラム式洗濯機の2通りで洗うことが可能です。
寝袋の保管の際はこちらの大きなバッグに入れて保管することで、ダウンの膨らみの回復率低下を抑えることが可能です。
調整機能
顔まわりはドローコードで絞れるようになっています。旧モデルに比べて、コードの位置が変更され、引っ張りやすくなりました。
シームレスダウンハガー#3を他メーカーと比較!
シームレスダウンハガーを他のモデルとも比較し、どのような立ち位置かを確認します!
同価格帯での比較
シームレスダウンハガーが購入できる3万3千円あれば、どのようなスペックの寝袋が買えるのか、他メーカーで比較したいと思います。
Naturehike ダウン スリーピングバッグ 700 | montbell シームレス ダウンハガー #3 | SEA TO SUMMIT スパークSpI | NANGA UDD BAG 280DX | ISUKA エアプラス280 | |
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価格(税込) | ¥28,900 | ¥33,000 | ¥30,250 | ¥34,100 | ¥37,400 |
総重量 | 1,200 g | 555 g | 555 g | 550 g | 550 g |
快適温度 | -10 ℃ | 4 ℃ | 9 ℃ | 8 ℃ | ー |
使用可能温度 | -15 ℃ | -1 ℃ | 5 ℃ | 4 ℃ | 2 ℃ |
フィルパワー | 800FP | 800FP | 850FP | 770 FP (撥水ダウン) | 800 FP |
収納サイズ | ∅21 × 40 cm | ∅13 × 26cm | ∅11 × 16 cm | ∅13 × 20 cm | ∅14 × 24cm |
ネイチャーハイクの寝袋になると、相当気温が低い時に使うような寝袋が買えてしまうことに驚きです。笑
中国のメーカーは除く、他のブランドと比較する分には、モンベルの寝袋は性能と価格のコスパが良いようです。
同程度の保温力で比較
続いて、快適温度と使用可能な下限温度で比べた時の表です。
AEGISMAX G1 | Hilander ダウンシュラフ 600 | montbell シームレスダウンハガー #3 | SEA TO SUMMIT スパークSpⅡ | NANGA UDD BAG 380DX | |
---|---|---|---|---|---|
価格(税込) | ¥13,000 | ¥15,999 | ¥33,000 | ¥37,840 | ¥38,500 |
総重量 | 762 g | 910 g | 555 g | 505 g | 680 g |
快適温度 | 3 ℃ | ー | 4 ℃ | 4 ℃ | 3 ℃ |
使用可能温度 | -2 ℃ | 0 ℃ | -1 ℃ | -2 ℃ | -2 ℃ |
フィルパワー | 800 FP | 650FP | 800 FP | 850 FP | 770 FP (撥水ダウン) |
収納サイズ | ∅15 × 28 cm | ∅16.5 × 32 cm | ∅13 × 26 cm | ∅13 × 19 cm | ∅13 × 25 cm |
注目すべきは収納サイズです。ダウンの高品質化により、少ないダウン量で保温性が高いモンベルやSEA TO SUMITTに対し、AEGISMAXやHilanderは少し収納サイズは大きいです。
ツーリングの際にスペースがあるならば、コスパに優れる寝袋を買うのも一つの選択だと思います。節約も大事ですからね!
【結論】旧モデルより快適度は落ちるが、軽量・コンパクトにおいて優位
以上の比較から、やはりコスパで言えば中国系のメーカーの生産性には敵いません。
モンベルの寝袋のメリットは
- 高品質なダウンにより、小さな収納サイズ
- 縫製の品質が高く、長く使う製品として相応しい
このあたりがポイントになると思います。10年使えば、1年あたり3,300円です。笑
その上で、旧モデルと比較すると横伸びの快適度は落ちるものの、収納サイズをコンパクトに、そして軽量に仕上がっているのは他社に対抗するにあたっても良いスペックになったと感じます。
モンベルの寝袋が欲しい!方は全国のモンベルショップ、もしくはオンラインストアで購入が可能なので、チェックしてみてくださいね!
最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!
この記事が道具選びの参考になれば幸いです!